第28回 2004年2月20日 午後
港でお弁当を食べてから、ふたたび海に出ました。何だか午前中とは様子が違います。ザトウクジラのペアは、横を向きながら、大きな胸鰭を重ねるように持ち上げたり、シッポを海面から突き出したり、やたらと白い部分が船の上からもはっきりわかるようになってきました。もしかしたら交尾しようとしてたのかも知れません。船が近付くと嫌がって離れていきます。
遠く離れたと思ったら、突然目の前で、浮上しました。また、しばらく静かだと思ったら、海面からぬっと顔を突き出して、スパイホップしたりします。
今日は、海の中を緑色の細長い生き物が船の後ろに走っていきました。清さんが、オキゴンドウだと言ってました。でも背びれも何も見せず、愛嬌もなくどこかに消えました。

少しすると他の船から歓声があがりました。
なんと、バンドウイルカの群れが現れたのです。
何と、沖縄でバンドウイルカに出遭えるなんて!!しかも、ザトウクジラと一緒に!!

アシスタントのサトシくんの話ではバンドウイルカは8月なんだけどということです。
ザトウクジラは相変わらず、こんな格好をしてますが、その近くにバンドウイルカがやってきます。
あっちこっち泳ぎ回るバンドウイルカ
船の下に近付いてきたり、こんな近くでジャンプしたり、けれども、今日のバンドウイルカの興味はザトウクジラのようです。

イルカが静かになると、下の様にスパイホップ。
突然のペダンクルスラップ!!
船の真横から、物凄いブローの音、ブォオオオオー!!って、感じです。バンドウイルカがあんまりちょっかいを出すものだから怒ったんじゃないかと僕は思います。

ぐんぐんスピードを上げて、すんごいことになってきました。
2頭のザトウは頭を海面に叩きつけるヘッドスラップを何度も何度も交互にはじめます。
続いて、今度は岩石の様な体を、ぐるりとひねるブリーチを交互に連発!!
清さんは、「こんな光景は滅多にないよ。僕もブリーチは何千回、いや万回は、見たけど、今日のこんなのは(一番凄かった中の)何番目かに入るよ」と言ってました。

僕は、こと鯨に関しては、去年から強運を発揮してます。

この日、2頭のザトウクジラの見せた、ブリーチやヘッドスラップ、とにかく、狂騒という言葉に似た光景は1時間近くもつづきました。

それなのに、肝心のビデオカメラは早々にバッテリー切れを起こし、この3分の2は、僕の記憶にしか入ってないんです。残りは、物凄い揺れの中、予備バッテリーをやっとの思いで何とか収めることができました。船と併走しながら2頭がブリーチの回転を交互に繰り返す場面が撮れなかったし、ヘッドスラップのときのザトウの目なんか本当にお伝えしたかったのですが・・・


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