第23回 2003年9月18日 那智勝浦 晴れ

 二日前に南紀マリンレジャーサービスの米川船長からシャチが見えているという連絡を受け、早く休みこないかなあと落着かない毎日でした。一週間前のあのシャチ家族がまだ沖合いにいるんです。

 今日は風もそれほどなくウォッチング日和です。早朝にシャチが目撃されていて、ただそれからだいぶ時間が経っているのが難点といえば難点でした。

 今日のシャチは黒潮との境目を2〜3マイル(1マイルは約1.6km)の範囲で行ったり来たりしているようでした。もう一隻のウォッチング船(おそらく清丸)は西から東にシャチを探し、米川船長の恵亮丸は東から西へと船を走らせました。
 かなり時間が経ちました。しかし、シャチは全く見つかりません。この間、滅多に出逢えないシャチに出逢ってしまったから二回続けてはないだろうと半ば諦めた、その時、前方にシャチのブローが高々と上がりました。続いてまっすぐにのびた背びれ。


 間違いなく、前回のシャチファミリーです。数回ブローの後、潜水。5分の辛抱。5分の辛抱。・・・が、一向に浮上せず。探しても待ってもブローは上がりません。そのうち、他のお客さんが騒ぎ出しました。ヒレが見える。よく見ると小さなヒレが3つ。ハナゴンドウです。
 シャチが泳いでいた所に息を殺したハナゴンドウが、次々背びれを出し、大小20頭はいたでしょうか。彼らは固まりになって、ほとんど浮上せず、シャチをやりすごしていたのでしょう。ここまで警戒するハナゴンドウははじめて見ました。突きんぼ船が追いかけてるときでも、視界の外れで、のんびり浮かんでいるハナゴンドウをよく見かけます。でも、この日のハナゴンドウは少し浮上していただけで、海の中に潜ってしまい、全く見えなくなりました。


 シャチもハナゴンドウもいなくなった海に小さなマンタがゆらゆら泳いでいます。
米川船長:「マンタよりシャチはどこいったんや?」
 再びシャチを探します。まったく見つからず・・・。が、突然前方に大きな背びれ。シャチが見つかりました!!今度はさっきよりも近くで。


しかし、画像はひどいありさま。
これまたすぐに潜ってしまい、先ほどと同じ様に浮上しませんでした。
米川船長:「かわすな〜」
シャチたちは、朝見えた所からそれほど離れておらず、ついさっき見えた所で一度潜り我々の船が視界から消えてからまた悠々と泳いでいたようです。シャチは視界から見えなくなるほどによく動き、しかも速い。なかなかシャチだけ(回遊型)をおっかけてウォッチング船を出すのは至難の技だそうです。
米川船長は、ここ数日、同じ船がシャチに近付くので、シャチがこちらの裏をかいて泳いでいると言ってました。私は、ハナゴンドウを狙っているシャチが、ハナゴンドウが潜んでいるのと同じようにシャチも潜んでいるのではないかと思います。

この日はシャチはこれで終わりでした。広い海で、たった4頭のシャチ家族を探すのはたいへんです。この日は捕鯨船も突きんぼも、他の漁船も全くなかったので、出逢えただけで運がいいんです。ただ、2回目の幸運にも関わらず、映像を収められなかったのが残念です。

 最後にマンタが見事な宙返りを見せてくれました。


inserted by FC2 system